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Links 第20話 ―繋がりのきっかけ―

 

【登場人物】


〇リィ・ティアス(♀) 17歳

  「ライン」と呼ばれる怪物によって両親は殺され、
  その数年後、唯一の肉親である兄が失踪したため、今は一人で暮らしている。
  本来は素直で明るい性格だったが、過酷な環境と一人で生きてきたため気が強い性格になってしまった。

 

〇レイジス・アルヴィエル(♂) 17歳

  リィと同じ学園に通う生徒。学園内ではいつもリィとアリスと一緒にいる。
  性格は穏やか。明るくノリは軽い。心優しい性格だからこそ、相手を傷つけないように言葉を選ぶため、
  ヘタレのレッテルを張られている。

〇サネル・ランバート(♂) 45歳

  ゴアス帝国軍最高司令官という肩書を持ち、ゴアス皇帝に次ぐ権力者の持ち主。
  リィの両親の友人であり、二人が亡くなった際に。リィに対して困ったら自分を頼るように言った。
  豪快かつ父性のある男。元はゴアス一の戦士であり役職に似合わず、立派な体躯、巨大な体を持っている。

 

〇イシュア(♀) 20歳

  父はライン、母は人間から生まれた女性。両種族の迫害に耐え切れず、人知れぬ島に移り住んだ。
  その際にアリスの協力を得ている。
  リィたちが島に来た際に「壊れた時計」の襲撃に会い、父を亡くすが、しっかりと現実を見据え、
  村の再建に努める。

 

〇ブロウ(♂) 30代前半(見た目年齢)

  旧ランディール領で暴れる鬼のライン。自分の種族を誇りに思い、己の力にも自信を持っている。
  豪快で好戦的。金棒を振れば瓦礫の山ですら簡単に崩してしまう。

―――――――――――――――――
【役配分】

 

(♀)リィ 
(♂)レイジス
(♂)サネル + おじさん
(♀)イシュア + おばさん
(♂)ブロウ + 兵士

 

計♂3 ♀2

―――――――――――――――――
【用語】

ライン:つまるところ怪物。モンスター。おとぎ話、伝説と呼ばれた生物のことを指す。
    現在、そのラインが世界各国に出没し、人間に害を与えている。
    イントネーションはフルーツの「パイン」と同じ。

 

魔鉱石:特殊なエネルギーを含んだ鉱物。この世界では照明器具の光や暖房 器具の熱などを作るために、この石を埋め込み、
    その力を媒介としている。
    また、魔鉱石の純度によっては強大な力を含んでいるが、扱うには体にとてつもなく負荷がかかる。

 

――――――――――――――――

【シーン1】

 

リィM:防衛戦は終わった。
    あたしたちはラインに扮していたゴアス軍東部司令官のグランを倒し、
    そして組織「壊れた時計」の一人で、かつての総司令官であったバリウスという男を倒した。
    でも、その爪痕は深く残った。建物と、多くの兵士、それに帝国に住んでいる人たち。
    数え切れないほどの多くのものが、この戦いの犠牲となった。
    そんな中、兵力も体力もそこを尽きたあたしたちの前に、一つの報告が入る。
    ……多数のラインが、ゴアス帝国に近づいてきている、と。

   (見張り台に向かうサネルたち)

兵士:し、司令官……。

サネル:俺にもよく見せろ。あれは……ラインか!?
    まさかグランを倒されたことを知って、増援を寄越してきたのか!?

リィ:そんな……。

レイジス:ど、どうするんですか!?

サネル:どうするもなにも……腹、括るしかねえだろ。
    俺はこの国の司令官だ。この国を守るためにいる。
    兵士もそうだ。この国を守るために命を賭けている。
    どんなに消耗していようが、不利だろうが、戦うしかないんだよ。

リィ:サネルおじさん……。

サネル:一人でも戦力が必要だ。だから俺も前線に出る。

リィ:あたしたちも行きます!!!

サネル:お前らは隠れていろ。

レイジス:でも!

サネル:でもじゃねえ! これは……死にに行く戦いだ。
    俺はお前らが死ぬ様を見たくないし、俺の死ぬところを見せたくない。

リィ:嫌です! パパもママもいなくなって、おじさんまで死ぬなんて……あたしは……。

サネル:……そうだな。すまん。
    ――全軍に伝えろ。迎え撃つ。

リィ:サネルおじさん!!!

レイジス:り、リィ……。

リィ:何よ!

レイジス:なんか、声、聞こえない?

リィ:え?

サネル:なんだと!?

イシュア:リィさん! レイジスさん!

リィ:あの声……まさか!?

レイジス:俺たちを呼んでる! 行ってみよう!

リィ:うん!

サネル:お、おい! 待て! ……全く。俺たちも出るぞ。だが、相手の判別がつくまで待機だ
    相手が敵だと判断すれば総攻撃を仕掛ける。

兵士:はっ!

 

―――――――――――――――――
【シーン2】

イシュア:お久しぶりですね。リィさん、レイジスさん!

リィ:イシュアさん!? どうしてこんなところに!?

イシュア:私たちは貴女たちの力になりたくてここに来たんです。

レイジス:でも、なんでここにいるって……。

イシュア:アリスさんから教えてもらったんです。

リィ:アリス?

イシュア:アリスさんは体力の限界まで海を泳ぎ、私たちがいる島まで来たんです。
     そしてリィさんたちの力になって欲しいと言って気を失いました。
     ……今は島にある私の家で休ませています。

リィ:そうだったんですね……。という事はここにいるラインたちは……。

イシュア:安心してください。私たちの仲間です。

レイジス:戦わなくていいんだ……。

リィ:よ、よかったぁ……。

ブロウ:おい、イシュア。兵士共が出てきたぜ。

レイジス:げっ! あ、あ、あんたは……!?

ブロウ:なんだ、あの時のもやし頭か。

リィ:もやし……。

レイジス:も……もももも、もやし!? イシュアさん! なんでこいつがいるんですか!?

イシュア:何故も何もブロウさんは私たちの仲間ですから。


     
ブロウ:俺はイシュアに協力してるだけだ。
    だからといってテメェらと馴れ合うつもりは無いからな。
    ま、もやしが俺と戦いたいって言うんなら容赦はしねぇがな。

レイジス:……や、やややってやろうじゃんか!

イシュア:ブロウさん。
リィ:もやし。     (上記セリフと同時が好ましい)

ブロウ:ちっ……。

レイジス:全く、冷や冷やしたよ……。てか、リィ、今俺のこともやしって言った?

リィ:ん? イッテナイ、イッテナイ。

サネル:リィ! お前らの知り合いなのか!(遠くから)

リィ:……サネルおじさん。

ブロウ:イシュア。

イシュア:大丈夫です。私一人で行きます。

兵士:ち、近づいてきました! ど、どうなされますか!?

サネル:向こうも一人だ、俺も一人でいい。

兵士:は、はぁ……。

   (イシュア、サネルに近づく)

イシュア:貴方がゴアス帝国軍総司令官、サネル・ランバート様ですね。

サネル:……あんたは?

イシュア:私はイシュアと申します。リィさんとレイジスさんには以前にお世話になりました。
     この集団にいることで大体お察しは付いているとはお思いですが、私はラインです。
     いえ、正確に言えば人間とラインとのハーフですが……。

サネル:人間とラインの……。

イシュア:リィさんたちから話を聞いているとは思います。ラインは知能を持ち、貴方がた人間と同じ、心を持っている。

サネル:あぁ、聞いている。そして人間の姿に化けられる事もな。
    丁度つい先程も、国の司令官の一人が人間に化けて反乱を起こしたからな。

イシュア:はい。伺っております。――ですので。

サネル:……?

イシュア:ですので! 私を含めここにいるライン全員を、ゴアス帝国復興にお役立てください!

リィ:イシュアさん……。

サネル:なんだって?

イシュア:私たちラインの中には体が大きく力に自信がある者から、火を起こせたり空を飛べたりする者までいます。
     グランの反乱で、建物や土地を荒らされ復興に割く人員が少ない今、私たちは皆さんのお力になれます。
     瓦礫の撤去や重い資材の運搬など、出来ることはたくさんあるはずです。

サネル:だが……。

リィ:おじさん、どうして悩んでるんですか……?

レイジス:そうだよ! やっと人間とラインが手を結ぼうとしているのに!

イシュア:サネル様、よろしければお聞かせください。

サネル:……確かにあんたの言う通り、グランたちのせいでこの国はボロボロだ。
    犠牲が多すぎて今は国を立て直す力すら無いのが現実だ。
    ――だが。

レイジス:だが?

サネル:イシュアと言ったか、あんたはグランと繋がってないと言い切れるのか?
    恩を売り、油断をさせ、そして忘れた頃のように反乱を起こす。グランのようにな。

レイジス:そ、そんな言い方――

サネル:黙ってろ。さっきも言ったはずだ。俺はこの国の命を背負ってんだ。
    そう簡単に信用する訳にもいかねぇ。

イシュア:レイジスさん、サネル様の仰る事はごもっともです。
     つい先程までラインと戦ってきたからこそ、普通の人の目には私たちは敵にしか見えないでしょう。

サネル:……。

イシュア:サネル様、全てのラインが人間に対して敵対心を持っている訳ではないのです。
     ラインの中に人間の事を理解している者もおり、手を取り合って暮らしたいと望む者もいます。
     ……勿論多くとは言えませんが。

サネル:なら今戦っているラインは?

イシュア:あなた方が戦っているラインたちは一人の男による指示の下動いています。
     そう、あなた方が先程戦った東部司令官――いえ、ライン「デュラハン」であるグランもその一人です。

リィ:それってもしかして……。

イシュア:その男の名はオズィギス。「バフォメット」のラインです。
     彼は人間を倒し、この大陸を支配するという目標を掲げ、多くの同志を引き連れて人間と争っています。

サネル:オズィギス……。あの野郎、リィとレイジスの一件以来姿を消したかと思っていたが……。
    とんだ悪者じゃねぇか。
   


イシュア:彼らに協力をせずに殺されたラインだっています。
     私の仲間であるブロウも、オズィギスの仲間に殺されました。

サネル:……。

イシュア:私たちが望むのは人間と手を取り、オズィギスの野望を止めること。
     そして可能であれば私たち人間とラインが共に暮らせる世界を築ければと思っています。
     人間とライン、両方の血を受け継ぐ私だからこそ、心からそう願います。
     ですので、私たち、少なくともここにいるラインは貴方たち人間に対して害意はありません。

サネル:……なら、何故今まで動かなかったんだ。

イシュア:ラインと人間、両方の血を持った私たちは今まで、人間とラインに関わらないように、
     誰にも見つけられない小さな島で村を作って暮らしていました。
     そこで、人間にもラインにも傷つけられることなく、生きていこうと思っていました。――ですが。

サネル:……ですが、なんだ。

イシュア:私たちはリィさんやレイジスさんたちと出会いました。
     危険を省みずに自分たちの理想のために行動する姿に心を動かされたんです。

サネル:お前たち……いつの間にそんなことを……。

リィ:ええっと……その、イシュアさんたちの島のことを黙ってくれって島の人から言われてたので……。

サネル:……そうか。

イシュア:本当に平和を望むのならばただ待ってるだけではいけない。若い彼らだけに頼ってはいけない。
     だから私は島を出て、ここにいる仲間を集めました。

サネル:なるほどな……。

イシュア:改めまして、サネル様、ラインと人間が手を組む第一歩として、ご助力願えませんか?

サネル:……。

リィ:サネルおじさん……。

レイジス:サネルさん!

サネル:……はぁ、どうやって国中の奴らを説得するかねぇ。
    陛下に話を通して……いや、まずは兵士たちからだな。

レイジス:……という事は!?(嬉しそうに)

サネル:分かった。こちらこそ、よろしく頼む。

イシュア:ありがとうございます!

リィ:でも……国の人たちにはどう説明するんですか? いきなりラインの人たちが入ってきたら警戒しそう……。

サネル:分かってる。そのための俺だ。言ったからにはどれだけ反対されようが説得してやる。
    


レイジス:さっすが総司令官! 頼もしい!

サネル:茶化すんじゃねえよ。
    まずは皇帝陛下に説明しなきゃなんねぇ。イシュア、陛下に会って説明してくれるか?

イシュア:……分かりました。

サネル:心配するな、俺もついていく。誰かが襲ってくるもんなら俺が守ってやる。
    それでも不安ならお前が信用する奴らを引き連れてもいい。

イシュア:いえ、一人で大丈夫です。

サネル:……そうか。おい、ちびっこ共。

レイジス:え、俺たち?

サネル:お前らも一緒に来い。お前らがいた方が少しはイシュアの気も楽になるだろ。
    後、万が一だが、もし何かあったら、一緒にイシュアを守ってくれ。

リィ;はい!

サネル:……まあ、それだけじゃないんだがな。お前たちの夢の第一歩、お前たち自身で見届けるんだ。

リィ:サネルおじさん……ありがとうございます!! 行きましょう! イシュアさん!

イシュア:はい!

   (間・5秒)

リィM:サネルおじさんの説得は上手くいった。
    おじさんはゴアスの皇帝様に事情を説明し、皇帝様から国民へとラインの真実について知らされた。
    いきなり知らされる真実に戸惑う人たちは多かったけど、
    サネルおじさんや、兵士さんたち、ラインの人たちによる友好的な姿勢のおかげで何事もなく復興に取り掛かり始めた。

 

 

   (間・3秒)

ブロウ:おい親父、この石材は何処におけばいい?

おじさん:それは、ここにある窪みにはめ込んでくれ。家の主柱になるからな。

ブロウ:よっと……。

おじさん:それにしてもラインってのは凄いねぇ、こんなデカい石を軽々持ち運べるんだから。

ブロウ:ふん。逆にお前ら人間は力が無さ過ぎて使えねえな。

おじさん:はっはっは、厳しいな。あんたたちがいなけりゃ、この街の復興は夢のまた夢だっただろう。
     本当に、助かってるよ! 

ブロウ:……。

おばさん:おーい、お二人さんや! 仕事で疲れたろう。これでも食べておくれ。

おじさん:おぉ、丁度腹が減っていたんだ。

おばさん:ほら、鬼さんも食べておくれ。

ブロウ:(パンを食べる)っ!? なんだこれは……美味い。

おばさん:ウチの店の人気商品のパンさ。美味いだろう?

ブロウ:……あぁ。

おじさん:この仕事が終わったら皆で飲みに行こう。鬼さん、お酒はいける口かい?

ブロウ:……鬼が酒に弱い訳がないだろ。それに俺の名前はブロウだ。

おじさん:よっし、なら決まりだな。一緒に飲もうじゃないか! ゴアスの酒は美味いぞ!
     あぁ、そうだ。君のお友達のラインも連れて来るといい。なんたって我々は仲間なんだからな!

ブロウ:仲間……。

おばさん:どうしたんだい、そんな顔して。

ブロウ:な、なんでもねえよ! おい! 仕事の続きをするぞ!

おじさん:はっはっは! 元気がいいな!

 

―――――――――――
【シーン3】

リィ:こんなところにいたんですね。

イシュア:リィさん、レイジスさん。

リィ:ラインの皆、上手く馴染めてて良かったです。

レイジス:へへっ、ブロウなんてゴアスの人たちとお酒を飲んでたからな。

イシュア:えぇ。嬉しいことです。

リィ:本当に……ありがとうございます。
   あたしたちだけじゃきっと、どうしようもなかった……。

イシュア:いえ、そんな。むしろ私の方こそ感謝したいくらいです。
     こうやって踏み出せたのも全て、貴方たちのおかげです。
     ありがとうございます。

リィ:……でも、まだオズィギスがいます。

イシュア:そうですね。彼を止めない限り、この戦いは続くことでしょう。

リィ:……。

イシュア:……戦うのですか? オズィギスと。

リィ:……はい。

レイジス:オズィギスとは俺個人としても決着つけないといけないしな。

イシュア:今回、世界各国にオズィギスの手下たちを差し向けたと聞きました。
     それらで彼らの目的が達成されていないというのであれば、きっと攻め方を変えてくるはずです。

レイジス:どんな方法で攻めてきても、俺たちがすることは決まってるさ! なぁ、リィ。

リィ:ふふ、そうね! イシュアさん、絶対にオズィギスを止めてみせます。

イシュア:あなたたちならそう言うと思っていました。
     ですが、これはもはや貴方たちだけの戦いではありません。
     人間の、そしてラインの戦いでもあります。

レイジス:イシュアさん……。

イシュア:覚えておいてください。リィさん、貴女たちの後ろには私やブロウさん、
     それに多くのラインたちがいること。

リィ:はい!

イシュア:……必要であれば呼んでください。皆さんが望むのであれば、私は貴方たちの剣となり、盾ともなりましょう。

リィ:……いいえ、盾になんてしません。皆で生きて帰って、平和に、幸せに暮らすんです。

イシュア:ふふ、そうでしたね。絶対に、平和にしましょう。

ブロウ:こんなところにいやがったのか、イシュア。

イシュア:あら、どうされたんですか、ブロウさん。

ブロウ:どうしたも何もないだろ。明日も忙しくなるんだろ、さっさと寝床に戻って休むぞ。

イシュア:そうでしたね。そういう事なのでリィさん、レイジスさん、また会いましょう。

リィ:はい、また。

イシュア:ところでブロウさん、ゴアスの人たちとお酒を飲んでいたみたいですね。

ブロウ:付き合ってやっただけだ。

イシュア:どうでした?

ブロウ:……悪くなかった。少しは退屈しなくて済むかもな。

イシュア:うふふ。

ブロウ:何笑ってやがる、気持ち悪いな。おら、さっさと歩け。

イシュア:はいはい、分かりました。ふふっ。

   (間・3秒)

レイジス:行っちゃったな。

リィ:うん。

レイジス:楽しそうだった。ラインも、人間も、皆。

リィ:レイは?

レイジス:俺も。……皆で力を合わせて家を立て直したりしてるところ見ててさ、
     なんか、こう……すっごい胸が熱くなった。

リィ:あたしも。まだ少しだけだけど、本当に人間とラインが暮らせるようになるなんて夢みたい。

レイジス:へへっ、夢かもよ。

リィ:いじわる。

レイジス:冗談だって。……夢なんかじゃない。俺たちが世界中走り回って、
     血を流してボロボロになってまで追っかけて掴んだものなんだ。夢なはずはないよ。

リィ:この幸せがいつまでも続くといいね……。

レイジス:続くよ、きっと。もし続かないとしても、俺たちで続かせてみせるんだ。

リィ:……うん。(間・3秒)

  あーあ、それにしても疲れたぁ~。

レイジス:なんだかんだ言ってずっと戦いっぱなしだもんなぁ。

リィ:なんか、張り詰めてたものが切れちゃったって感じ。よいしょ。(レイジスにもたれかかる)

レイジス:うわっと!?

リィ:明日からまた忙しくなる。ちょっとくらい休憩してもいいよね。

レイジス:……うん。お疲れ、リィ。

リィ:あんたもね。

レイジス:……。

リィ:やーい、もやし頭ー。ぐしゃぐしゃー。(頭をワシャワシャする)

レイジス:うわっ!? な、なんだよいきなり!

リィ:……傷だらけ。

レイジス:そんなこと言ったらリィもだろ。腕ボロボロじゃんか。魔鉱石の使い過ぎだろ。
     こんなに……こんなにも傷だらけじゃないか。

リィ:あたしは別にいいの。あたしにとっては皆がいなくなるほうが何倍も辛いから。

レイジス:いいや、駄目だ!

リィ:え?

レイジス:そうだ! 俺だ! 俺がもっと頑張ればいい!

リィ:ええ!?

レイジス:いつも守られてばかりだったからな。今度は俺がリィを守る番だ。
     不本意だったけど、手に入れたこの力で、絶対に守ってみせるよ。
     (少々間)……後さ、俺、これ以上リィがボロボロに傷ついていく姿を見たくないんだ……。
     だから自分で傷ついてもいいなんて言うなよ。そんなこと言われると……俺が辛い。

リィ:……。

レイジス:ど、どうしたの?

リィ:あー……もう、バカ! バカバカ! ちょっと涙出ちゃったじゃない!
   何女の子泣かせてんのよ! このヘタレもやし!

レイジス:え、あ……ごめん。

リィ:もうホンットにバカ! ありがとッ! ふんだ!

レイジス:へへっ、どういたしまして!

リィ:うぅ……なんか急に恥ずかしくなってきた。もう最悪!(声にならない恥ずかしさがこみ上げる)

レイジス:あは……あはは。

リィ:あははじゃないわよ、もう! くぅぅ……。

レイジス:いたた……。さて、と。俺たちも明日に備えて戻ろっか。皆、待ってる。

リィ:……うん。

   (間・3秒)

リィ:あ……れ、レイ。ちょっと待って!

レイジス:ん? どうしたのさ?

リィ:あ……い、いや、やっぱなんでもない。ううん、気にしないで。​

レイジス:うん? 変なリィ。

リィ:は、早く行こっ!

レイジス:あ、ちょっと待てって!

リィ:……。

to be continued...

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