『Links』 ―第13話 怪物少女の結論―
【登場人物】
〇アリス・ポルテ(♀)
リィとレイジスが通う学園の生徒。言葉遣いは丁寧だが、腹に一物抱えているタイプ。
その正体は水を司る精霊と伝えられるライン『ウンディーネ』。人の姿に変わり、人の世に溶け込んでいた。
○ゼノン・ランディール(♂)
ゴアス帝国南部司令官のココレットの手伝いで旧ランディール王国でラインの研究活動をしていた男。20代前半。
小さい頃から傭兵で暮らしていたため、腕っぷしは強く、性格、口調も荒い。
○ヴェルギオス(♂)
吸血鬼のライン。かつてはアリスたちと共に人間相手に戦っていた。見た目年齢は20代中盤。
〇メリア(♀)
上半身が人間の女、下半身は蛇のライン「メリュジーヌ」。見た目年齢は20代後半。
バフォメットのオズィギス、吸血鬼のヴェルギオスらと共に人間を滅ぼす計画を立てている。
話し方はお嬢様口調(ですわ系)落ち着いた雰囲気だが、怒ると怖い。
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【用語】
ライン:つまるところ怪物。モンスター。おとぎ話、伝説と呼ばれた生物のことを指す。
現在、そのラインが世界各国に出没し、人間に害を与えている。
イントネーションはフルーツの「パイン」と同じ。
魔鉱石:特殊なエネルギーを含んだ鉱物。この世界では照明器具の光や暖房器具の熱などを作るために、この石を埋め込み、
その力を媒介としている。
また、魔鉱石の純度によっては強大な力を含んでいるが、扱うには体にとてつもなく負荷がかかる。
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【役配分】
(♀)アリス
(♂)ゼノン
(♂)ヴェルギオス
(♀)メリア
計 ♂2 ♀2
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【シーン1 かつての仲間】
メリア:く、うぅ……。まさか人間ごときに後れを取るとは!
ヴェルギオス:なんだ、メリア。お前、負けたのか。
メリア:「壊れた時計」二人に人間が一人。彼らの力を侮っていたのが敗因ですわ。
ヴェルギオス:そんだけの人数相手だったら善戦した方だろ。
メリア:弱小な人間相手です! たかが三人くらいなら蹴散らさなければラインとして恥! 種族の恥ですわ!
ヴェルギオス:そうか。まあ生きていて何よりだ。しっかり傷を癒すんだな。
メリア:あら、お優しい。
ヴェルギオス:こんな大切な時期に仲間が一人減るのは困るからな。……全く、あいつも何してんだか。
メリア:あいつ?
ヴェルギオス:……すまねぇ。少し野暮用済ませてくるわ。
メリア:え、えぇ。
ヴェルギオス:心配すんな。無駄な戦いをするつもりはねえよ。
昔の仲間の目を覚まさせに行ってくるだけだ。
メリア:昔の仲間?
ヴェルギオス:……それじゃ、行ってくる。
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【シーン2 彼女の悩み】
≪場面説明:アリスの秘密を知ったリィは、彼女を拒絶した。否定をしようとしたが、全てが真実で言い返すことも出来ず、
ただ言われていた通り、リィの病室から出ていくしか出来なかった。アリスは行く宛ても無く、ただゴアスの街を歩く。
そして辿り着いた先は、人気が無い、川の畔だった。川の畔でアリスは座り込み、膝に顔を埋める。≫
アリス:……はぁ。いつか知られてしまうと覚悟はしてましたが、まさかこんな形で知られるなんて。
何で自分から言わなかったんでしょう……。いや、言おうとしなかった。言う気なんて無かったんだ……。
だって――。いや、結局は知られてしまったのだから、今更ですね。
……はは、我ながら、情けないですねぇ。
私、これからどうしましょう。
(背後からヴェルギオス登場。《SE:足音》)
ヴェルギオス:だから言っただろ? 人間なんかと関わるなって。
アリス:ヴェルギオス……。
ヴェルギオス:よっ、久しぶりだな。
アリス:……何しに来たんですか。
ヴェルギオス:殺しに来たように見えるか。
アリス:……。
ヴェルギオス:なぁ、今ならまだ間に合う。俺達んところに戻ってこい。
アリス:それは……。
ヴェルギオス:派手に嫌われたんだろ? ならちょうどいいじゃねぇか。
縁切っちまえよ。友情ごっこなんて時間の無駄だ。
アリス:ッ! あ、あなたに……あなたに何が分かるんですか!
ヴェルギオス:分からねえよ、人間のことなんて。お前もいい加減気づけよ。
俺たちはライン。種族の壁を超えることなんて絶対できやしねぇんだ。
アリス:私は……。
ヴェルギオス:お前は人間の何を知った気でいた? 奴らと暮らして、同じ人間になった気でもしていたか?
アリス:……。
ヴェルギオス:まぁ、どの道お前はもうあのガキ共と元の関係に戻れはしねえよ。
アリス:戻れない……?
ヴェルギオス:そうだ。だから帰るぞ。俺たちは人間と戦う戦力が欲しい。だからお前が必要なんだ。
またお前の力を――ん? どうした、お前。
アリス:え? あ、あれ……? なんで涙が……。なんで……胸が苦しい……。
ヴェルギオス:……アリス。
アリス:もう私は、皆と会えない……? 皆とお喋りが……できない?
笑って、泣いて、ふざけあって……もう一緒に旅ができない?
嫌だ、そんなのって……嫌。
リィちゃん、レイジス君……ゼノンさん……うぅ……。
ヴェルギオス:……ちっ。
アリス:ヴェル……。
ヴェルギオス:……なんだよ。
アリス:友情ごっこ。本当にそれが友情ごっこというなら……。
なんで……こんなにつらいんですか……?
ヴェルギオス:お前は人間と長く居すぎたんだよ。
アリス:そう、ですか……。
ヴェルギオス:収まるべき場所に収まったら、その気持ちもなくなる。さ、行くぞ。
アリス:……いや、だ。
ヴェルギオス:いい加減現実を見ろよ! 何夢を見てやがる!
お前が人間の世界で、何を見てきたか知らねえけどよ。ガキが四人で世界を変える?
人間とラインが共に生きる世界を作る? 自分が何を言ってるか分かってんのか!?
そんなの、無理に決まってるだろ!
アリス:そんなこと……やってみないと分からないじゃないですか!
ヴェルギオス:お前、いつからそんな甘ったれた事を抜かすようになってしまったんだよ……。
昔、俺たちと一緒に人間と戦っていた時はそんなんじゃなかった。
頭も切れるし、戦いのセンスもある。子供なのに周りに引けを取らない程任務を熟(こな)してきた。
皆が認める程、大した戦士だったのに……。
アリス:やめて! 止めてください……お願い……。
ヴェルギオス:……それはこっちのセリフだよ。なんでだよ。お前、どうしちまったんだよ。
アリス:うっ、うっ……。
ヴェルギオス:なぁ、アリス……。俺は、俺たちはお前の仲間じゃなかったのか?
アリス:……。
ヴェルギオス:今ならまだ間に合う。……いや、これが最後のチャンスかもしれないんだ。
アリス:それでも、私は……。
ヴェルギオス:まぁいい。今は興奮してしっかり考えれねぇだろ。落ち着くまで待って――ッ!?
(何者かの気配に気づくヴェルギオス。《SE:振り返る音》)
アリス:どう、したんですか……?
ヴェルギオス:……隠れてないで出てきたらどうだ?
ゼノン:なんだ、ばれてたのか。
(ゼノン、茂みから登場。《SE:茂み+足音》)
アリス:ゼ、ゼノンさん……。
ヴェルギオス:盗み見とは趣味が悪いな、国無しの王子サマよぉ。
ゼノン:王子の特権とでも思って見逃してくれや。
ヴェルギオス:……いけすかねえ野郎だ。
ゼノン:そりゃどうも。生憎、俺はあんたに用はねえんだ。
ヴェルギオス:なんだと?
(ゼノン、アリスに近づく。)
ゼノン:よう、お嬢さん。元気かー?
アリス:……っ。
ゼノン:まぁーったく、どこいったかと思えば、こんな辺鄙な場所にいたのかよ。
しかも来てみたらナンパされてるしよ。
アリス:……すみ、ません。
ゼノン:涙で顔ぐちゃぐちゃじゃねえか。いつもの生意気さはどうしたよ。
アリス:……うるさいです。あなたには――
ゼノン:関係ないってか? そりゃ冷たいこって。おら、ハンカチやるから顔拭いとけ。
(ハンカチーフを投げつける。《SE:布きれの音》)
ヴェルギオス:格好良く登場しに来たつもりなんだろうが、何しに来た。
ゼノン:別れの挨拶でもしに来たように見えるかよ?
ヴェルギオス:アリスは俺たちのところに戻るんだ。お前らのくだらない友情ごっこに付き合っている暇はない。
ゼノン:なんだ、そうだったのかアリス。
アリス:……ッ。
ゼノン:……こいつの反応を見る限り、まだ返事をしてねぇ感じだな。……勝手に決めつけてんじゃねえよ。
ヴェルギオス:ならお前たちのところに戻るとでもいうのか?
ゼノン:は? そんなこと知るかよ。
ヴェルギオス:……なんだって?
ゼノン:俺たちがどうしてほしいとかじゃねえんだよ。大事なのはこいつの意思だ。
おい、アリス。お前はどうしたいんだ?
アリス:私は……。
ヴェルギオス:結局は説得しに来たのか。邪魔をするなら人間でも容赦しねぇぞ、ゼノン・ランディール!(SE:剣を構える)
ゼノン:へっ、そうかよ。やっぱそうなんのか。(SE:剣を構える)
ヴェルギオス:あの時は逃がしてやがったが、まさかただの人間が俺とまともに戦えるとは思ってねえよな?
アリス:ゼノンさん、駄目です! 早く逃げて!
ゼノン:ご忠告ありがとうよ。だがな、こっちもやられてばかりじゃ――いけねえんだよ!
(ゼノン、「壊れた時計」の力を纏う。)
ヴェルギオス:……テメェ、その力!?
アリス:……その姿は……。
ヴェルギオス:貴様ッ! 「壊れた時計」の仲間だったか!
ゼノン:さぁて、どうだろうな? おい、アリス!
アリス:は、はい!
ゼノン:テメェの答えを出すためにどれだけ時間がいる!?
アリス:え――
ゼノン:ラインとして、ヴェルギオス達ん所に戻るか。それとも、夢を見続けるか、だ。
この男の言葉を借りると、友情ごっこを続けるかってことだな。
ヴェルギオス:人間風情が!
(ヴェルギオス、ゼノンの背後に回り込み斬りかかるが、簡単に防がれる。《SE:鍔迫り合い》)
ゼノン:見えてんだよ!(SE:剣を弾き、一太刀入れる)
ヴェルギオス:ぐぅぅっ!? 図に乗るなよ、小僧!!!
(ヴェルギオス、吸血鬼の姿になる。)
ゼノン:……それが本当の姿ってか? 吸血鬼って言ったら色白で鋭い牙ってイメージだが、
案外獣に近いんだな。
ヴェルギオス:……この姿はな、喉が渇くから嫌いなんだよ。
勿論、俺をこの姿にさせたってことは、潤してくれるんだろう?
ゼノン:気持ち悪い。そんなの、美人なねーちゃんにでもしてくれや。
ヴェルギオス:軽口叩くのも今のうちだ!
ゼノン:だから見えてるって言ってんだろ!
ヴェルギオス:見えてるだけじゃどうにもならねぇぞ!!!
(ヴェルギオス、ゼノンの防御を強引に突破し、傷をつける。《SE:剣弾き→斬撃》)
ゼノン:なっ――! ぐっ、力も上がってんのかよ……!
ヴェルギオス:(手に付着したゼノンの血を舐めとる)
不味い。そう言えば貴様は王族だったらしいな。
王族の血とはこんなものか、苦くて、舌が馬鹿になりそうだ。
ゼノン:……へっ、おもしれぇ! こうじゃなきゃ戦いは面白くねえだろ!
(少し長い間。以下、アリスの独白)
アリス:……私は何がしたいの? 自分の種族の使命から背き、敵である人間と手を組んでまでして。
ラインは敵? 違う。大切な仲間だ。じゃあ人間は? ……分からない。
でも、人間が私たちラインと変わらないことを教えてくれたのはあの子だった。
それなのに私は彼女を……親友を裏切った。
彼女の両親が殺されるのを指を加えて見ていたんだ。
止めようと思ったら止めれたのかもしれない……。でも、動けなかった。
だから私は、これ以上あの子を悲しませないように傍にいた。
それは償いのため?
私は本当に自分の罪を償うためだけにあの子と一緒にいた?
私は――
(間)
(ヴェルギオスとゼノンは互いに剣をぶつけ合い、そして身体に傷をつけ合う。
最初は互角であったものの、次第にゼノンが押され始める。《SE:剣の打ち合い+斬撃》)
ヴェルギオス:どうしたどうした、そんなもんかよ!? えらくバテるのが早いじゃねえか!?
もっと楽しませてくれると思ったんだがなぁ!?
ゼノン:ちっ、まだ長時間は持たないのか! だが、お前さんも結構キてんじゃねえか?
血を吸う量より、流す量の方が多いだろうよ?
ヴェルギオス:……ほざきやがれ。確かにお前は強くなった。多分そこらのラインじゃ相手にならんだろうな。
だから、早めに不安の芽を摘ませてもらうとするぜ! 死にやがれぇああ!
ゼノン:くっ、間に合わない――!
(その瞬間、アリスがゼノンの前に庇うように立ちはだかる。)
ヴェルギオス:アリスゥ……。
アリス:ゼノンさん、お待たせしました。
ゼノン:……馬鹿野郎、随分待たせやがって。
ヴェルギオス:……それがお前が出した答えか?
アリス:すみません、ヴェル……。
ヴェルギオス:……理由、聞かせろよ。
アリス:最初は大切な友達の両親を見殺しにした罪悪感でリィちゃんの傍にいました。
これ以上彼女を悲しませないようにしよう、それが私の償いだって……そう思っていました。
ヴェルギオス:……。
アリス:でも違った。勿論自分がしてきたことは許されないことだってことは分かってます。
でも……そんなのは、ただの建前だった。
ヴェルギオス:ほう?
アリス:本当の事を言うのは怖かった。
だって嫌われてしまうのが分かってるから。拒絶されてしまうからッ!
……言える訳無かった!
ゼノン:アリス……。
アリス:私は……私は! 皆が好きです。大好きなんです。
リィちゃんも、レイジス君も――もちろんゼノンさんも皆……。
だから私は、謝らなきゃならないんです。
ヴェルギオス:……ふん。
アリス:人間とラインが暮らせる世界を作る。私は器が小さいので、そんな大層な事は考えられません。
ただ、私が好きな人たちと一緒に暮らすことが許される世の中であればいいなって、そう思っています。
ヴェルギオス:そうかよ。……残念だぜ。(SE:武器を収める)
ゼノン:なんだ、妙にあっさりと引くんだな。
ヴェルギオス:あぁ。今回は戦いに来たんじゃねえからな。仲間だったこいつを説得しに来たんだ。
テメェが来るのは予想外だったがな。
ゼノン:……。
ヴェルギオス:お前の気持ちが変わったなら仕方がねえ。今までありがとうよ。……次、会う時は本当に敵同士だな。
アリス:……えぇ。
ヴェルギオス:もう会えないことを祈っておくぜ。
アリス:……さようなら、ヴェル。
(暫し間。ヴェルギオス、去る。《SE:足音》)
ゼノン:いいのか、昔の仲間だったんだろ。……いや、こんなことを言うのは野暮だったな。すまん。
アリス:いいんです、私が……決めたことですから。
ゼノン:その割に声振るえてんじゃねえか。
アリス:震えて……ません。
ゼノン:(溜息)おい……時間、必要だろ? またここに戻ってくるから、準備しておけよ。それじゃあ――
(アリス、ゼノンの裾を掴む。《SE:布擦れ》)
ゼノン:……なんだよ。
アリス:……少しだけ……ここにいて……くれません、か?
ゼノン:……あぁ、分かったよ。
(長い間。《SE:川の流れる音FI》)
ゼノン:どうだ、元気出たか?
アリス:えぇ。先ほどは取り乱してすみませんでした。
ゼノン:そうだな、すごい泣いてたな。
アリス:む、わざわざ言葉にしないでください……。
ゼノン:ははは、お前より優位に立てるなんてそうないからな。
アリス:……くっ、取り乱してたとは言え、貴方に頼ってしまったのが私の一生の不覚です。
ゼノン:はっはっは、残念だったな、アリスちゃんよ。
アリス:前から何故私だけ呼び捨てなのかと思っていましたが、
いざ、そういう風に呼ばれると……すごいムカつきますね。
ゼノン:目を腫らして言うと全然怖くねえな。
アリス:く、うぅ……、この男、どうしてくれましょうか。
ゼノン:まあ、俺を張った倒すくらい元気があるならいいや。
だが、今お前がしなきゃならねえことは、そうじゃねえだろ?
アリス:……そうですね。リィちゃんと一緒にレイジス君を助けにいかないと!
ゼノン:ふっ、そうだな。――おっし、それじゃあ行くとするか。
アリス:……でも。
ゼノン:あいつに会うのが怖いんだろ? そうだろうな。
それはお前がずっと黙ってたのが悪い。……まあ、黙ってるのが一番楽だからな。
その分、ばれてしまった時は何倍もツラい。
アリス:……。
ゼノン:ビビんじゃねぇよ。ほら、皆が好きなんだろ?
アリス:でも……私、怖いです……。
ゼノン:だったらずっとこのままでいいのか?
アリス:それは……嫌……。
ゼノン:そうだろ? なら行くぞ。
アリス:……。
ゼノン:怖いだろうが、俺が傍にいてやる。まぁ、一人で謝るのは勇気がいるだろうが、二人いれば少しはどうにかなるだろ。
……あー、ヤニが切れちまった。(SE:煙草を取り出し、火を点ける)
アリス:ゼノンさん……。
ゼノン:ん? なんだ? 俺のかっこよさに惚れたか?
アリス:煙草……逆です。
ゼノン:うぉ!?
アリス:はぁ、全く格好つかないですねぇ……。ふふ、でもおかげで勇気が湧いてきました。
ありがとうございます、ゼノンさん。
ゼノン:へっ、そりゃどうも。
アリス:……さて、行きましょうか! 大切な友達を助けるために!
―――――――――――――――――
【シーン3 吸血鬼の思い】
(SE:足音FI)
メリア:あら、おかえりなさい、ヴェルギオス。
その様子を見る限り、説得は失敗したようですわね。
ヴェルギオス:うるせえよ……。
メリア:いくらかつての仲間だとは言え、我らの障害となる限り、その子も排除する対象であることを頭に入れてくださいな。
ヴェルギオス:うるせぇって言ってんだろ! 分かってる。分かってるんだよ!
メリア:あら、あなたがそんなに取り乱すのは珍しいですわね。私は先に帰らせてもらうとしましょうか。
あまり自分を追い詰めないこと、よろしいですわね、ヴェルギオス。
ヴェルギオス:あぁ……。すまねぇな。
メリア:いえ。仲間を失うことは悲しいことですもの。では、私はこれで。
ヴェルギオス:アリス。結局、お前はそっちを選ぶんだな。……悲しいぜ。
だが、おかげで俺も覚悟はできた。
もし次に会うことがあれば、俺はお前を殺す。
お前が自分の信じた道を行くのなら、俺も――
to be continued....