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『Links』 ―第9話 望まぬ目覚め―

 

【登場人物】

 

○リィ・ティアス(♀)
 ジェナ・リースト共和国に住む17歳の女の子。両親は幼い頃にラインに殺され、その後兄のセイルは失踪。
 それ以降悲しみに暮れながらもなんとか立ち直ることができた強い心を持つ。両親の遺産で今も一人で暮らしている。
 性格はしっかりしており、学園内でも優秀な生徒として評価されているが、少し口が悪い。

 

○レイジス・アルヴィエル(♂)
 リィと同じく同国に住む17歳の青年。明るく元気な男。リィとは学園で知り合った仲。
 よく一緒にいるためにリィとその友人アリスに振り回される苦労人。ひょんなことでリィと共に旅に出ることになる。

 

〇エストリア・シーラー(♀)
 かつてココレットが経営していた孤児院の子供。11歳。現在は当てもなく世界中を旅をしている。
 元気で活発、お転婆な女の子。銃を用いて魔鉱石のエネルギーを放出してラインと戦う。

 

〇オズィギス(♂)
 ゴアス帝国総司令官であるサネルの友人でもあり、リィの両親の友人でもある。
 年齢はサネルより少し年下。見た目年齢は35歳。旅が好きで世界各国をふらふらと巡っている。

 

〇エレアード(♂)
 ラインを滅ぼすことを目的とする組織「壊れた時計」4時の男。見た目は20代。ノリの軽い性格だが、気分屋で残忍。
 オルテア小国ではアリスと戦った。それ以来アリスに対して熱中気味。そこに愛情があるかは不明。

 

〇ヴェクタ(♂)
 ラインを滅ぼすことを目的とする組織「壊れた時計」5時の男。見た目は30代。
  人間だった頃は科学者で、魔鉱石に関する研究を行っていた。
 物腰の低い話し方をするが、何故か鼻にかけた感じ。 
 
――――――――――――――――
【用語】

 

ライン:つまるところ怪物。モンスター。おとぎ話、伝説上の生物のことを指す。
    現在、そのラインが世界各国に出没し、人間に害を与えている。
    イントネーションはフルーツの「パイン」と同じ。

 

魔鉱石:特殊なエネルギーを含んだ鉱物。この世界では照明器具の光や暖房器具の熱などを作るために、この石を埋め込み、
    その力を媒介としている。
    また、魔鉱石の純度によっては強大な力を含んでいるが、扱うには体にとてつもなく負荷がかかる。

――――――――――――――――

【役配分】

 

●被り無
(♀)リィ
(♂)レイジス +???
(♀)エストリア
(♂)オズィギス
(♂)エレアード
(♂)ヴェクタ
(♂)ゴロツキ

 

計 ♂5 ♀2

 

●被り有
(♀)リィ
(♂)レイジス + ???
(♀)エストリア
(♂)オズィギス
(♂)エレアード
(♂)ヴェクタ + ゴロツキ

 

計 ♂4 ♀2

 

―――――――――――――――――

≪シーン1:とある科学者の憂い≫


  ≪場面説明:組織「壊れた時計」のアジトにて。4時の男エレアードは一人、バルコニーから見える景色を眺めている。
        そこに現れる5時の男ヴェクタ。≫

 


ヴェクタ:エレアード!

 


エレアード:ヴェクタか。ボクに何か用?

 


ヴェクタ:えぇ、任務を伝えに来ました。

 


エレアード:ふぅん……それで、内容は?


 

ヴェクタ:任務内容は、例の子供たちの抹殺です。

 


エレアード:へぇ、ボクらの邪魔をしなれけば放置でいいって話を聞いたけど?

 


ヴェクタ:事情が変わったのですよ。少しでもこちらに不利益となるならば抹殺せよとのことだ。
     貴方もウンディーネのラインと戦いたいのでしょう?

 


エレアード:……そうだね、アリスちゃんと戦えるなら悪くない。

 


ヴェクタ:引き受けてくれますね?

 


エレアード:それが任務なら断る理由はないよ。

 


ヴェクタ:頼みましたよ。

 


エレアード:……そっか。また君と戦えるのか。アリスちゃん。ふっふふ、あはははははは!!!!!

 


     ≪間≫

 


ヴェクタ:……本当は任務でも何でもないのだが、少しでも不安は解消しておきたいものでしてね。
     上手くやってくれよ、エレアード……。

 

 

 

――――――――――――――――――

≪シーン2:もう一人の父の友達≫


リィM:新しい仲間、エストリアを旅の一行に加えたあたしたちは、ゴアス南部から中央部へと戻った。
    しかし、戻ってきているのはどうやらあたしたちだけのようで、アリスはまだ情報収集から戻ってきていなかった。
    彼女の状況が分からない限り、こちらも迂闊な行動はできず、

    取りあえず空いた時間を使って、旅に必要な物資を買い出しに行く。
    用事を済ませ、サネルおじさんから貸してもらっている部屋に戻ろうとすると、

    部屋の扉に一通の手紙が挟まっていることに気づく――


 

レイジス:あれ?

 


リィ:どうしたのよ。


 

レイジス:リィ、これ……?(SE:紙が落ちる音)


 

リィ:何か挟まってるわね。……これは、手紙? えーと何々……アリスからだ。


 

エストリア:アリスって、前に言ってたウンディーネのお姉ちゃん?

 


レイジス:そうそう。それで、何て書いてんの?

 


リィ:……ちょっと調査に時間が掛かってるみたい。後で合流するから先に旅に出ててってさ。


 

レイジス:そっか。ゼノンも怪我で動けないし、当分は俺とリィ、エストの三人旅かー。


 

リィ:そうね。地道に色んな国を回って情報を仕入れていくしかないのかな。


 

レイジス:なあ、俺さ、ちょっと気になってることがあるんだけど。

 


エストリア:なになに?

 


レイジス:俺が旧ランディール王国で、ラインと戦う訓練してた時にさ、鬼のラインと出会ったじゃんか。


 

リィ:うん。

 


レイジス:なんであんなところにいたんだろーって思ってたんだ。ラインはただの獣じゃないんだ。
     だから、ただ人間がいないからって理由だけで、あそこにいるのっておかしくない?


 

リィ:……確かに言われてみれば。ちょっと調べてみる価値はありそうね。

 


レイジス:よし、そうと決まれば。

 


エストリア:しゅっぱーつ!

 


     ≪間≫

 


リィM:あたしたちはランディール王国に向けて出発する。
    ゴアスの街を抜け、国境門を目指していた時、ふと、一人の男の人の背中が目に映った。
    その姿を最後に見たのは何年ぶりだろうか。確か、まだパパとママが生きていた時だったっけ……?(SE:町のざわめき)

 


リィ:あ、あれは――

 


     ≪突然立ち止まるリィにぶつかるエストリア(SE:ぶつかる)≫

 


エストリア:わぶっ! いてて……どうしたの、おねーちゃん?

 


リィ:ごめん、ちょっと待ってて!

 


レイジス:あっ、おい、リィ!

 


リィ:オズィギスおじさん!

 


     ≪リィ、後ろからオズィギスに抱きつく。(SE:抱きつく音)≫


 

オズィギス:ん? お前は……。


 

リィ:覚えてますか? リィです! ティアス家の!


 

オズィギス:おぉ! あいつの娘か! いやぁ、大きくなったな! そこにいるのはリィの友達か?


 

リィ:はい! おじさんは相変わらず旅をしているんですか?


 

オズィギス:あぁ。世界各国を巡る旅をしているよ。ゴアスには数日前に着いたんだ。


 

リィ:暫くここにいるんですか? せっかくなので、おじさんの旅のお話を聞きたいです!


 

オズィギス:すまないね。私はちょうど今、ここを発つんだ。サネルとも、昔の友人とも会ってのんびり滞在していたからね。


 

リィ:そうですか……。

 


オズィギス:まあ、そんなに気を落とすんじゃない。サネルから聞いたが、お前たちも世界中を旅してるんだってな。
      護身用とはいえ、魔鉱石の指輪を使わせるとは、サネルも無茶をさせる。

 


リィ:戦う事は自分で決めたことですから……。

 


オズィギス:ふむ。まぁ、互いに旅をしているなら、再び会うこともあるだろう。その時にまたゆっくり話そうか。

 


リィ:はい!


 

オズィギス:……そうだ、レイジス君。

 


レイジス:え? 俺? てか、なんで俺の名前を?

 


オズィギス:……あぁ、サネルからリィたちの事は聞いてるからね。もちろん知っているよ。
      旅をするからには男も女も関係なく戦うのだろうけど、やっぱり男は女の子を守ってこそだと思う。
      ……だからこれを君にあげよう。

 


レイジス:これは……石? てことは魔鉱石?

 


オズィギス:いやいや、そんな大層な物じゃないよ。これは旅で見つけたお守りだが、なんでも戦いのお守りらしい。
      男が一人というのは何かと大変かもしれないが、これを持って皆を守ってあげなさい。

 


レイジス:あ、ありがとうございます……。

 


エストリア:ねぇおじさん! あたしには? あたしには!?


 

オズィギス:すまないね。今あげれるのはこれだけなんだ。
      そうだな、元気なお嬢さんには、また会ったときに素敵なプレゼントを用意しておこうか。

 


エストリア:ホント!? 約束だからね! 指切り!

 


オズィギス:はいはい。

 


リィ:すみません、迷惑かけてしまって。

 


オズィギス:いやいや、旅は出会いがあってこそ。私は楽しいから構わないよ。……さて、そろそろ私は行こうかね。

 


リィ:また会えることを信じています。

 


オズィギス:あぁ。それまで、元気でやってるんだよ。


 

リィ:はい!

 


     ≪一同、暫くオズィギスを見送る。(SE:足音FO)≫

 


レイジス:……良い人だな。

 


リィ:うん。オズィギスのおじさんは、昔からあたしとセイルに良くしてくれたんだ。

 


レイジス:ふぅん。


 

エストリア:そんじゃ、あたしたちも行こうよ。

 


リィ:そうね。よーし! あたしたちも頑張ろう!

 


エストリア:おー!

 


レイジス:あぁ。

 


エストリア:ほら、レイジスも!


 

レイジス:え、俺も?

 


エストリア:ノリが悪いわねー、このヘタレイジス!

 


レイジス:へ、ヘタレイジス!?

 


エストリア:うん、ヘタレイジス。

 


レイジス:こ、このガキンチョ……!


 

リィ:いいじゃない。似合ってるよ?

 


レイジス:お、おう。そうか? いや、違う! そんなの嬉しくない!

 


エストリア:ほらほら、行くよ! 頑張るぞー!

 


リィ:おー!

 


レイジス:お、おー! 子供の勢いってすげぇなぁ……。

 


エストリア:ほら、はやく行くよー!


 

レイジス:はいはい。

     

 

 

――――――――――――――――――
≪シーン3:小さな変化≫


     ≪SE:バイクのエンジンの音≫

 


リィM:ゴアス帝国を出て、広大な平原の上を、あたしたちはバイクを走らせる。そんな中、ふと、視線の先にあるモノを捉えた。
    大体五、六人の武装した集団。向こう側もあたしたちの存在に気付いているみたいで、こちらに近づいてくる。
    どこかの国の兵士が巡回警備をしているのかと思ったが、何か様子がおかしかった。


 

ゴロツキ:おい、止まれ。バイクから降りろ。

 


レイジス:……なんだ?

 


エストリア:ラインでも出たのかな?

 


リィ:何か様子がおかしいわね。……取りあえず、言う通りにした方がいいみたいね。

 


レイジス:……そうだな。ほら、エストも。

 


エストリア:う、うん……。

 


ゴロツキ:こんなご時世にガキ共で旅とは、いいご身分だなぁ?

 


エストリア:おっさんたち、誰よ?

 


ゴロツキ:誰って? そんなことはどうでもいいだろ。

 

     
リィ:おじさんたちも旅……って訳じゃなさそうね。てことは物盗りかしら?


 

ゴロツキ:直球だねぇ。


 

レイジス:否定はしないんだな。言っておくけど、俺たち戦闘に心得があるから、そう簡単に負けてやらないぞ。


 

ゴロツキ:そうかそうか。それは怖い――ねぇッ!(SE:刃物を振るう)


 

レイジス:うわっと!?(SE:回避)


 

ゴロツキ:大口叩くのは良いが、俺を倒してから言うんだなぁ!!?


 

     ≪ゴロツキ、メチャクチャにナイフを振り回すが、レイジスは彼の動きを見極め、的確に避けていく。(SE:ナイフ+回避)≫

 


レイジス:よっと! ほっ! へへへっ、おっさん、もう終わりー?

 


ゴロツキ:ちぃっ! ……なるほど、戦いに心得があるってのは本当らしいな。それなら――


 

     ≪ゴロツキ、リィたちの近くにいた仲間に合図を送り、彼女らを人質にする。≫

 


リィ:きゃああ!?


 

エストリア:ちょ、ちょっと、放しなさいよ!?


 

レイジス:リィ!? エスト!?


 

ゴロツキ:女を人質に取れば後は思いのままだ。いくらテメェが腕が立つって言っても、手は出せねぇだろ。
     それに見たところ中々の美人が揃ってんじゃねえか。


 

エストリア:揃ってるって……おねーちゃんはともかくあたしも? え、おじさん、そっち趣味なの?


 

ゴロツキ:このガキ、状況が分かってねぇようだな。なぁ? もう一人のお嬢ちゃん。


 

リィ:た、助けて……。


 

ゴロツキ:へっへっへ。


 

リィ:――なぁんて言うと思った? えいッ!


 

     ≪魔鉱石の力で炎を巻き起こし、男を吹き飛ばす(SE:爆炎)≫


 

ゴロツキ:ぶぉっ!? な、なななな何が起きたぁ!? 急に爆発しやがったぞ!?


 

レイジス:だーから言ったじゃんか。それにしてもリィ、そんな演技できたんだな。


 

リィ:へっへん。名演技でしょ?


 

レイジス:よっ、大女優!


 

ゴロツキ:く、くそ! こうなったら――


 

リィ:何? まだやる気?


 

ゴロツキ:大人をコケにすると痛い目見るぞ。――うぉおおおおおおおお!!!

 


リィM:ゴロツキは雄たけびを上げると、見る見るうちに姿が変わっていく。人間の姿から、獣の姿へ……。

 


レイジス:なっ!? このおっさんたち、ラインだったのか!? リィ!!!

 


ゴロツキ:死ねぇええええ!

 


リィ:くっ、間に合わない――


 

エストリア:おねーちゃん、伏せて!


 

リィ:っ!

 


エストリア:てやあぁあああ!!!

 


     ≪エストリア、手持ちの銃でゴロツキを撃つ(SE:銃声)≫

 


ゴロツキ:ぐぉおおおぉお!? ば……ばか……な……。な、なんだ、その武器……ぐふぅ。(SE:倒れる音)

 


エストリア:間一髪だったね、おねーちゃん!


 

リィ:凄いじゃない、エスト!

 


エストリア:ふふん。

 


レイジス:威力も攻撃速度もあって、さらには遠距離もいけるなんて、銃ってのは凄いな、ほんと。

 


エストリア:でも狙いを定めるのがすっごい難しいんだよ。

 


レイジス:それができるエストは凄いよ、ほんと。

 


エストリア:えっへっへ、貸してあげないよー?


 

レイジス:いいよ。俺、向いてなさそうだし。
     ま、何はともあれ、皆無事でよかった。こいつらが目を覚ます前に行こう。

 


リィ:そうね、行きましょう。

 


エストリア:レッツゴー!

 

 

――――――――――――――――――

≪シーン4:覚醒≫


     ≪先ほどのゴロツキの件以来、何度かラインが襲い掛かってきたが、リィたち一行は難なく撃退する。≫

 


レイジス:よっと、一丁あがり! ……ふぃー、まさか三回続けてラインに襲われるとはなー。

 


エストリア:おつかれ、レイジス!

 


レイジス:いいよなー、エストは遠くからバンバン撃てるから。

 


エストリア:でも、魔鉱石を扱ってる訳だから結構体力消耗するんだよ?
      まあ、おねーちゃん程じゃないけどね。


 

レイジス:その代わり、リィの技の威力はすごいもんな。どうしよ、どんどん俺の影が薄くなってきてるな。

 


リィ:でも、レイが敵をあたしたちに近づけないようにしてくれるから、こうやって援護出来てる訳だから、
   別に影は薄くないよ。むしろ助かってる。

 


レイジス:そうかな。ま、ありがとう。

 


リィ:それにしても、旅をし始めた時と比べたら、あきらかにラインに襲われる回数が増えたわね。
   ……あれからそんなに日付が経った訳じゃないのに。

 


エストリア:もしかして、ラインも色々影で動いてるのかな?

 


リィ:もしそうだったら、ラインの情報を仕入れているアリスといち早く合流したいところね。

 


レイジス:そうだな。

 


     ≪間≫

 


リィM:ちょうどその時だった。天気が良いにも関わらず、突風があたしたちを襲った(SE:突風)
    


エストリア:きゃー! 凄い風! なになになに!?


 

リィ:この風……まさか……!

 


エレアード:やあやあやあ、ひっさしぶりだねぇ!

 


レイジス:あんたは――


 

リィ:エレアード……。

 


エレアード:覚えてくれて嬉しいよ。……ん? あれ? なぁんだ、アリスちゃんはいないのか。残念だなぁ、ふふ。

 


エストリア:そのエレアードがあたしたちに何の用なのよー!

 


エレアード:誰だい、その生意気そうなお子様は。……ま、いっか。今日はねぇ、君たちを始末しに来たんだ、よッ!

 


     ≪エレアード、風の刃を放つ(SE:風)≫


 

リィ:くっ! 氷の壁!(SE:氷っぽい音)


 

エレアード:ボクの風を防ぐとは。なるほど、それが魔鉱石の力か。

      初めて会った時より大分戦えるようになったみたいだねぇ! 関心関心。
      でも、魔鉱石は体力の消耗が激しいと聞く。空を飛んでるボクに攻撃を当てるにはリィちゃんの技に頼るしかないけど、
      どうする?

 


エストリア:それじゃあ、こうする!(SE:何発か銃声)

 


エレアード:っ!? ふー、危ない危ない。なるほど、その女の子は銃を使うのか。いい仲間を見つけたねぇ。

 


エストリア:さっきからペチャクチャと煩いのよ! (SE:さらに何発か銃声)


 

エレアード:よっ、ほっ……っと。もうちょっと狙いを定めたほうがいいんじゃないかな? お嬢ちゃん。


 

エストリア:はなっから当たると思ってないわよ! おねーちゃん!


 

リィ:ナイスよ、エスト! てやぁああああああ!


 

     ≪エレアードの周りに無数の火柱が立ち上り、まるで檻の様に彼の閉じ込める。(SE:火柱)≫


 

エレアード:こ、これは……炎の……檻?

 


リィ:これでちょこまかと空を飛べないわね、エレアード! さぁ、レイ! 出番よ!

 


レイジス:よっしゃ! 任せろッ!


 

エレアード:なるほど、君たちの思惑通り、接近戦に持ち込まされた訳か。うん、いい連携だ。

 


レイジス:随分と余裕じゃんか! たぁああッ!(SE:剣戟音)


 

エレアード:あはは、実際に余裕なんだもん。君こそ自分の力を過信しすぎてるんじゃないかな? えいっ!


 

     ≪レイジスの攻撃を躱し、反撃に移るエレアード≫


 

レイジス:くっ……。まだまだぁ!


 

     ≪エレアードの攻撃を捌いて、攻撃に転じる。浅くはあるも、彼を切り裂く。(SE:体が斬れる音)≫


 

エレアード:うっ、くっ……! ふふ、やるね! 見違えたよ、レイジス君!


 

レイジス:俺だって、昔のままじゃないんだ!

 


エレアード:そうだね。失礼、どうやら君たちを見誤っていたようだ。

      だけどボクは「壊れた時計」だ。君たちただの人間じゃ絶対に勝てないよ。
      ……あぁ、それと一つ、言い忘れてたことがあるね。

 


レイジス:なんだよ。

 


エレアード:ボクの風は近距離からでも使えるんだ。……ほら、こんな感じにねぇ!(SE:カマイタチの様な音)

 


レイジス:ぐふっ!? う……嘘……だろ……?(SE:倒れる音)

 


エストリア:レイジス! 待ってて、今――

 


エレアード:おっと! そんなにバカスカ撃ってると、彼に当たっちゃうよー?


 

エストリア:くぅ……どうしよう。

 


エレアード:それにこんな炎、ボクが本気を出せば!(SE:突風)
      ……ほぉら、一瞬で消える。

 


リィ:うそ……。

 


エレアード:嘘じゃないさぁ。まぁ、人間にしてはよくやったよ、うん。さ、大人しく死んでくれないかなぁ?

 


リィ:だ、誰が……! そう簡単に死ぬわけにはいかないの、よッ!(SE:電撃)

 


エレアード:くっ、電撃か……! 体が……。

 


リィ:エスト!

 


エストリア:任せて!(SE:何発か銃声)


 

エレアード:く、体が痺れて避けきれな……ぐ、うおおぁああああ!

 


     ≪暫し間。(SE:倒れる音)≫

 


エストリア:……倒したの?

 


リィ:そう……みたい、ね。

 


エストリア:ちょうど銃もエネルギー切れ。あーあ、こんなに早く切れるなんて。予備持ってきてよかったよ。

 


リィ:く、う……。(SE:倒れる音)

 


エストリア:おねーちゃん!? ちょ、ちょっと! 大丈夫!?

 


リィ:力……使いすぎたみたい。でも、なんとか倒せて……よかった。レイは……大丈夫?

 


エストリア:向こうで倒れてる。多分、気を失ってるだけだと思う。

 


リィ:そっか……。取りあえず……戻ろう……。

 


エレアード:なんだ、もう帰っちゃうのかい? つまらないなぁ……。


 

エストリア:……うそ、なんで?

 


リィ:くっ……まだ意識があったのね。


 

エレアード:ふ、ふふふふふ。ここまでコケにされたのは初めてだよ。傷だらけだし、服だってボロボロだ。
      ボク、むかついちゃったなぁ!!!!


 

リィ:エスト! 逃げて! 氷の壁……っ!? くぁ……頭が……痛い。

 


エレアード:そりゃそうだ! それだけ魔鉱石の力を使ったんだ! 体の影響は大きいはずだ!


 

     ≪エレアード、リィを殴り飛ばす(SE:強い殴打)≫

 


リィ:ぐっ、うぅ……。


 

エレアード:ボクは女だからって手を抜くほど優しくないよ。ほらっ! 風の刃よ!
      彼女を切り裂け!(SE:切り裂く音)

 


リィ:きゃぁあああああああ!?

 


エストリア:おねーちゃん! うあぁあああああ!(SE:銃乱発)

 


エレアード:遅いんだよ!(SE:殴打)

 


エストリア:あぐっ……。

 


リィ:え、エスト……。

 


エレアード:君は自分の心配をしたらどうだい? このボクに傷をつけたんだ。
      簡単には死なせてあげない。早く死にたいって! 思えるほど! 痛めつけて! 嬲ってあげるよ!(SE:ひたすら殴打)


 

リィ:ぐ……うぁ……ごほっ、ごほっ!

 


エレアード:君のこんな姿を見てアリスちゃんやお兄さんのセイルはどう思うだろうね?

 


リィ:……く……ぁ。

 


エレアード:もう喋る力もないか。つまらないなぁ。あ、そうだ。腕を斬り落としたらもっと良い反応してくれるかな?

 


レイジスM:……やめ、ろ……。

 


エレアード:さぁて、いい声をボクに聞かせてよ。


 

レイジスM:なんで……声が……出ない? リィが……エストが……殺されかけてるのに……。
      なんで体が動かない? 

 


エレアード:あはははははは!


 

レイジスM:俺は見てるだけなのか……? 体が寒い……。目が、霞む……。俺たちは、もう駄目なのか……?
      皆を……リィを守る力が……ほしい。

 


     ≪瞬間、オズィギスから貰ったお守りが光り始める(SE:光る音)≫

 


エレアード:ッ!? な、なんだ、この光は!?

 


レイジスM:……なんだ? 何か、光ってる……? これは……オズィギスさんからもらった石……?


 

     ≪間≫

 


???:あぁ、久しぶりの感覚だ。


 

エレアード:何が起こった……!? それに君は誰だい? せっかくいい気分なんだ! 邪魔をするなぁあ!

 


???:ふん、小僧が吠える。

 


     ≪???、エレアードの腕をもぐ。(SE:肉がもげる音)≫

 


エレアード:あ……え……? ボ、ボクの腕が……。う、うわぁあああああああああ!?
      ボクの! ボクの腕があぁあああああ!?


 

???:……煩い男だ。

 


エレアード:そ、それはボクの腕!? お前か! お前かぁあああああああ!

 


???:聞こえなかったか? 煩いと言っている。

 


     ≪???、長く伸びた爪でエレアードを深く切り裂く。≫

 


エレアード:ごふぅっ!? な、なななな何だこの力……! お前は……本当に人間なのか?

 


???:私が何者でも貴様には関係ないことだ。

 


エレアード:くっ、とにかく今は退散だ。逃げさせてもらうよ。風よ!

 


     ≪間≫

 


エレアード:なんだ、あの強さは……。だけど、空に逃げればこっちのものだ。

 


???:ほう、そうなのか。

 


エレアード:なっ!? なんで……翼が……?

 


???:さぁな。

 


エレアード:くっ!

 


???:……そうだな。ただ分かるのは、貴様の命はここで終わるということだ。……死ぬがよい。

 


エレアード:ちくしょう! ……ちくしょう、ちくしょう、ちくしょう!!!! 
      ちくしょおおおおおおおおおおおおおおおおおお!

 


     ≪響き渡るエレアードの咆哮。(SE:深く、切り裂かれる音)≫

 

 

 

――――――――――――――――――

 ≪シーン5:不安≫


ヴェクタ:ッ!? エレアードの魂が砕け散った……。肉体が消滅したのか。
     まさか、奴らにやられたのか? エレアード程の戦士が、何故……?
     嫌な予感がする。なんだ、この胸騒ぎは……。

 

 


to be continued.....

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