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『女騎士とオークさんと時々くっ殺』

 

【登場人物】

 

(♀)女騎士
(♂)オークさんA
(♂)オークさんB
(♂)魔王

 

――――――――――――――――
 

【役配分】

(♀)女騎士
(♂)A
(♂)B
(♂)魔王

 

―――――――――――――――――
 

【1日目】

 

   (オークたち相手に単身で戦いに挑み、見事に負けた女騎士は、例のごとくそのままオークの巣にお持ち帰りされる)


 

A:へっへっへ……、捕まえたぜぇ。騎士様とあろう者が情けない姿だなぁ? えぇ?

 


女騎士:くっ! 縄を解け、オークども!


 

A:くくく、単身で俺たちに斬りかかって返り討ち。終いにゃ巣に連れていかれてこの様だ。
  さぁて、覚悟は出来てんだろうなぁ?

 


女騎士:な、何をする気だ!!?


 

A:クールな女騎士様には辱めを受けてもらおうか。へっへっへ……。


 

女騎士:辱めだと!? そんな屈辱を受けるくらいなら……死んだほうがましだ!


 

A:その強気、どこまで続くか見せてもらおうか。なぁに、次第に何も考えられなくなる。


 

女騎士:……っ!


 

A:さぁて、まずは貴様の剣を使って辱めてやろう。


 

女騎士:あ! そ、それは父から貰った剣なんだ! 返せ!


 

A:この騎士剣から放たれる一撃……さぞかし凄いんだろうなぁ。
  おい、テメェら、あれを持って来い!

 


B:へいっ!


 

A:ぐっふっふ……。これはお前の秘密が事細かに書かれている紙だ。
  人には言えないあんなことやこんなことが書かれている。


 

女騎士:な、なんだと……?


 

A:貴様が騎士になったのは10歳だったな。ぐふふ、幼いのに大したものだな。


 

女騎士:そんな情報まで……。


 

A:父から譲り受けた剣を携え、貴様は修行のため旅に出た。言わばこの剣はお前の誇りだ……ぐへへ。


 

女騎士:くっ、やるなら一思いに……殺せ!


 

A:そう言えば敵を倒す時、お前はなんと言って剣を振っていたっけなぁ……。


 

女騎士:え? そ、それは……


 

A:あぁ……思い出したぞ。その名も――


 

女騎士:あ……あ……やめ……ろ……


 

A:「ぷりてぃ☆らぶりん☆アタック」


 

女騎士:殺せ!!!


 

A:げはははは、純粋だなぁ、女騎士! まだまだ辱めてやるぞ。おい、次だ!


 

B:へいっ!


 

A:15になった貴様は勇者と共に我らが魔王様を倒すために旅に出たな?
  心身ともに強くなったお前は父から貰った剣を仲間の為に振るう。そうだな?

 


女騎士:な、仲間の事は悪く言うな!


 

A:大丈夫だ、貴様の仲間は恥ずかしめん。辱めるのは……貴様だけだぁ。


 

女騎士:くっ……。


 

A:貴様の奥義「ぷりてぃ☆らぶりん☆アタック」はさらに磨きが掛かっていた……。
  テメェら! その名前はなんだ!


 

女騎士:くっ、やめろ……。


 

B:へい! その名も「邪龍黒滅刃」です!


 

女騎士:やめろぉおおおおお!


 

A:へっへっへ! 正直な感想を言わせてもらおう。……その5年間で貴様に何があった?


 

女騎士:くぅ……。


 

A:むしろ魔王様が使ってきそうな技じゃないか?
  いや、そんなことはいい。29となった今、さぞかし腕を上げたんだろうなぁ、女騎士ぃ!


 

女騎士:……くっ! いくら貴様らが吠えようが私は絶対に負けん!


 

A:がははは! 強気な女は嫌いじゃない。俺たちを殺そうとしたあの技……。


 

B:「暗黒の華~冥府から出ずる死神の鎌~」です!


 

女騎士:ぐぁあああああああ!!!


 

A:はははははは! 絶好調じゃぁないか!


 

女騎士:はぁ……はぁ……うぅ……。


 

A:もうヘロヘロじゃねぇか。強気なのは口だけで、体は正直じゃねぇか。
  まあいい、今日はここまでにしてやる。また明日遊んでやるからな。じっくりと、たっぷりとなぁ!
  がはははははは!


 

   (オークたち、寝床に帰っていく)


 

女騎士:うぅ……私は……騎士だ。
    オークなんぞに……負けてたまるもんか……。

 

 


―――――――――――――
【2日目】

 

   (翌日)


A:おはよう、女騎士。いい夢は見れたか?


 

女騎士:貴様……!!!

 


A:大丈夫だ。今日は俺は何もしねぇよ。

 


女騎士:ほっ……。


 

A:だがお前は休ませてやるつもりはねぇからな。今日の相手はこいつだ。


 

B:げへへ……。


 

女騎士:な、なんだと……?


 

B:それじゃあ女騎士様には悪いが、さっそく一発目と行こうか。


 

女騎士:くっ……。

 


B:「@KnightSeria」

 


女騎士:っ!? ま、まさかそれは……。


 

B:そうだ、貴様のツイッターアカウントだ。


 

女騎士:馬鹿な……。

 

 

B:くくく、信じられないようだな。この通り、貴様とは相互フォローの仲だ。


 

女騎士:う、嘘だ!


 

B:嘘じゃぁないぜ。……「ぽんたろう@イラスト依頼待ってます」この名前、知らないとは言わせないぜぇ? へへへへ。


 

女騎士:それは私が好きな神絵師さんの名前!!? な、なぜ!? いや……まさか!?


 

B:どうも、ぽんたろうです。いつも「いいね」ありがとう。


 

女騎士:嘘だぁあああああああああ!!!


 

B:これは今日描いたイラストだぁ。


 

女騎士:うぅ……嘘だ……。あんなイケメンや美少女を描いてるのが……オークだなんて……。


 

B:おいおい、そんなんじゃないだろう? ほら、正直に言ってみろよ。我慢してんだろぉ?


 

女騎士:くっ……う……。ふ……ファンです……。応援しています……。


 

B:げはははははは! やればできるじゃねぇか! 折角だから1枚やろう。


 

女騎士:あぁ……オークなのに! オークなのに! 悔しいけど……嬉しい……。


 

B:ちなみに貴様のフォロワー、321人中210人はオークだ。


 

女騎士:嘘だ! 半分以上じゃないか!


 

B:誘ってるお前が悪いんだぜぇ? そうだ、お前のツイートを読み上げてやろう。


 

女騎士:やめろ!


 

B:「はぁ……好き……勇者くん」


 

女騎士:あぁあああああああ!


 

B:「ドラゴン頑張って倒したけど、勇者くん、見てくれたかな? ワクワク」
   さぁて、倒した技はなんだ? 邪龍黒滅刃か? 「暗黒の華~冥府から出ずる死神の鎌~」か?
   それとも原点に返って「ぷりてぃ☆らぶりん☆アタック」かぁ?


 

女騎士:いやぁああああああ!!!

 


B:勇者からフォローされていないのが救いだな。

 


女騎士:や……やめ……。


 

B:次はだーれだ? ぐふふ。


 

魔王:それでは、我が直々にお相手しようか。


 

A:あ、貴方は!?


 

B:魔王様!


 

女騎士:魔王だと!!? な、なんでこんなところに!?


 

魔王:オークからLINEが飛んできた。


 

B:オークがLINEを飛ばしました。


 

女騎士:ここで会ったが百年目! この私が成敗してくれる!


 

魔王:ほう……。そなたが噂の女騎士……いや、我のファンのセリアか。


 

女騎士:ファンだと!? 何を馬鹿な……、この私が魔王のファンになるなど笑止千万!


 

B:俺のファンではあったがな。


 

女騎士:黙れ!


 

魔王:ふふ……はははははははは!


 

女騎士:何が可笑しい!


 

魔王:可笑しい、可笑しいとも! 貴様の口からそのような言葉が出るとはな!


 

女騎士:どういうことだ……?


 

魔王:「まおたんの歌って広場」


 

女騎士:っ!? ……まさか……そのコミュニティ……。


 

魔王:覚えてくれて光栄だよ、セリア。最近人気急上昇中の歌い手、まおたんだ。


 

女騎士:お前かぁああああああああああああ!!!!


 

魔王:丁度昨日も我の放送聴きに来ていたな、セリアよ。
   宿屋で聴いていたのか? 我は放送していたぞ。……魔王城からな!!!

 


女騎士:……嘘だ……そんな……あぁ……あぁ……。

 


魔王:ショックの余り心が壊れてしまったか……。所詮は人間、この程度だったか。
   オークどもよ!

 


A:はっ!


 

B:へいっ!


 

魔王:つまらんコヤツは捨て置け。捉えていても邪魔なだけだろう。


 

A:かしこまりました!


 

魔王:我は城に戻る。……あぁ、そうだセリア。


 

女騎士:ぅう……ぁ……?


 

魔王:今宵も歌うが……聴きに来るか?


 

女騎士:……うん……行くぅ……。


 

魔王:ふふ、女騎士、陥落せり! ふふ……ははははははははははは!!!


 

 

END

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